2026/10/05 22:46

前回は「バリ舞踊との出会い(前編)」として、初めてバリ島へ行った時のことを書きました。

今日はその続き、バリ舞踊に出会った時のことを書きたいと思います。

ウブドでは毎晩、観光客向けの定期公演が行われています。
初めて見たのは確かウブド王宮でのバリ舞踊でした。

当時は今よりも照明が暗かったような気がします。

湿度を帯びたしっとりとした空気の中、虫の声のBGMを聞きながら公演が始まるのを待っていました。
踊り手が出てくる階段にはマリーゴールドとプルメリアの花が、可愛らしく置かれています。

空間全体を揺らすようなガムランの音色が始まり、踊り手が出てきました。

その時、私はすごく衝撃を受けたことを覚えています。

踊り手は膝を曲げて中腰の姿勢で腰を反らし、肘を上げ、指先が上を向くように手首を曲げています。
ギョロギョロとした大きな目が左右に動き、妖艶な笑みを浮かべていました。

その基本姿勢は、それまで私が習っていたクラシックバレエとは正反対のものでした。
むしろバレエではお尻を突き出すなんて、絶対にNGとされる姿勢です。

バレエしか知らなかった私は、バレエで「正しいとされるもの」=「美しいもの」なんだと信じていました。
そして今目の前にある踊りは、バレエでは「正しくないとされるもの」でした。

当時の私が知る世界の中では、「正しくないとされるもの」=「美しくないもの」になるはずでした。
でも私は、その「正しくないとされるもの・タブーとされるもの」が、美しく見えて仕方ありませんでした。
むしろ、どんどんと引き込まれていきます。

バリ舞踊を見ながら、小学校低学年の私は混乱していました。

「バレエでは絶対にダメな姿勢なのに、なんでこんなに美しいんだろう??」
「ある国ではNGとされることが、他の国ではOKとされるの??」
「むしろ正しいって何だろう?国によって違うの?」

今当時の頭の中を整理するとしたら、こんなことがぐるぐると渦巻いていたような気がします。

基本姿勢の他にも、暗闇の中に浮かび上がる金色の衣装も印象的でした。

1時間30分ほどの公演が終わる頃には、すっかりバリ舞踊の虜になっていました。

「世界にはこんなに美しいものがあるのか・・・」
と、しばらく放心状態だったと思います。

バリ舞踊は、それまでの常識や、「これ以外は不正解!」のような縛りを、解いてくれるような出会いでした。
だからとても、惹き込まれたのだと思います。

知らないだけで、美しいものはもっとたくさんあるんだと、ワクワクもさせてくれました。
それ以来世界の民族舞踊に興味を持つようにもなり、一時は世界中を旅しながら民族舞踊を習う!なんてことを夢見たりもしました。

バリ舞踊は、世界を広げてくれた踊りでもあります。
美しいとは何だろう?と考えさせてくれた踊りでもあります。

そして今、バリ舞踊との出会いや学びを通して感じたことが、刺繍に生きています。
どんなふうに生きているのかは、商品を紹介しながらゆっくりお話しできたら思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
同じように「何だこれは!」という経験をされた方がいたら、お話しを聞いてみたいです。
そういう話を聞くのが大好きです。

今日の一枚

初めてバリ島へ3ヶ月間踊りを習いに行った時に、お祭りで見たバリ舞踊。

踊り手と観客の距離も近くて、高いステージがあるわけでもなく、舞台と日常が地続き。
日常の中に芸術が、隔たりなく、境目もなく、自然に存在しているなあと感じました。